カフェで見る景色(アーカイブ)

カフェを愛する編集者・こんどうみきさんが中部地域のカフェをご紹介

本とベーグルを目当てに
緩やかな心地の平屋へ
モキチカフェ×本棚日陰(静岡県浜松市)

February 13. 2023(Mon.)

読書が似合うカフェは、雨もよく似合う

カフェで読書に耽る時間がとても好き。だから、少々不思議なこの店名に惹かれて、訪ねてみたくなった。住宅街の路地へ入り、一度は通り過ぎてしまった青い瓦屋根の平屋。水玉模様の暖簾をくぐって引き戸を開けると、どことなく懐かしい空気と優しい笑顔の店主が迎えてくれた。

押し入れを改造した本棚には、幅広いジャンルの書籍が並んでいてワクワク。ここは小さな書店「本棚日陰」でもあって、店内で読むことも、購入することもできるそう。ランチの注文後、気になる一冊を手に取り畳の席で読んでいると、すぐ隣の台所から食欲を刺激する音と香りが……。ほどなく運ばれてきたベーグルサンドは、素材の組み合わせ方と食感が絶妙で、思わず笑みがこぼれるおいしさだった。北海道産小麦粉、白神こだま酵母、自然塩、粗糖で基本の生地を作り、一晩発酵させて朝に焼くというベーグルは看板商品であり、レジ前で8種類ほど販売も。そして、デザートセットに選んだ黒豆パウンドケーキとハーブティーにも癒やされながら、再び本の世界へ。

この日はあいにくの天気だったけれど、静けさの中でリズムを刻む雨音が心地よく、「雨の日を好んで来てくださるお客さまもいるんですよ」という店主の話に心から頷いた。とことん緩ませてもらえる魅力的な“家”に、また帰りたいと思わずにはいられない。

この日は、無添加ベーコン、りんご、大根のバルサミコソテーのサンド。
間取りを生かした様々な席がある。カフェの店名は、大正~昭和前期に活躍した歌人・医師の名前から。
60歳を前に「庭のある小さな一軒家で営みたい」という思いから移転を叶えた店主。ベーグルは作り続けて15年だとか。
築47年の民家を利用。暖簾は染色家の山内武志さんの作品で、工房へ何度も足を運んで選んだそう。

店舗情報

モキチカフェ×本棚日陰
2022年に浜松市東区から現在の場所へ移転オープン。約100冊の本に囲まれてくつろげる。無農薬野菜やオーガニックコーヒーなど、素材へのこだわりも嬉しい。

MAP

〒433-8122静岡県浜松市中区上島6-18-46
電話番号:053-568-1390
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