おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

革靴に愛を込めて
あなたの“相棒”をきれいに長持ちさせるコツ
(2時間目)

February 28. 2023(Tue.)

どんなに大切に革靴を履いていても、突然の豪雨でびしょびしょに、革靴の底が剥がれてしまった、仕事が忙しくて気が付いたら半年間も手入れができなかった…といったトラブルに見舞われることも。そんな「ピンチ!」のときの対処法を、年間約2000足の革靴を修理する職人の小川大地氏に指南してもらった。

Chou Choute- 代表
小川 大地
靴修理と靴磨きの職人。大手リペアサービス会社で靴修理の修行を詰んだ後、2018年「名古屋観光ホテル」1階に「Chou Choute-(シュシュット)」を開業。ワックスメーカー「サフィール」が実技と知識を認めたスペシャリスト「サフィールシューケアトレーナー」の名古屋市内唯一の資格保持者。通常の靴磨きはもちろん、鏡面磨き、キズ補修・シミ抜き・クリーニングや染め替え、さらに革製品全般のケアをしている。少人数制の靴磨き教室も開催。
https://chouchoute-nagoyakanko.net/

時間目

大切な靴がピンチ!
こんなとき、どうしたら良い?

雨でびしょびしょになってしまった!

まずは、しっかりタオルなどで表面と中面の水分を取ってあげましょう。その後、自然乾燥で陰干しします。靴底も革になっている場合はそのまま床に置くと水分が蒸発できなくなるため、立てかけると良いです。太陽に当ててしまうとシワシワになったり一部のみ変色してしまうので注意してください。
乾いた革靴は水分も油分も抜けてカラカラの状態です。そのまま履いてしまうと、革に大きなダメージを負わせてしまうことになります。履く前に必ず、クリームをいつものお手入れより多めに塗って保湿してあげてください。

革にとって水分は大敵!雨の日にいつもの革靴を履くのはやめて、防水性の高いガラスレザーの靴や古くなってしまった“二軍”の靴などを履くことをおすすめします。

靴底がすり減った!
修理・交換のタイミングは?

革靴はしっかりお手入れをしていれば、10年履くことも可能です。
一方で、靴底やかかと、つま先は履いているうちに削れて減っていきます。土台まで削れきってしまうと部材の積み上げが必要になり追加費用がかかってしまいます。目で見て「減ってきたな」と気になるようになったら、早めに修理に出すことをおすすめします。削れやすいつま先は、ラバーなどであらかじめ補強をしておくという方法も。
また、靴についてしまったキズも同様にプロに修理してもらった方がいいでしょう。プロであれば、大抵のキズは直すことができます。

革靴が型くずれしてしまった!
どうすれば直る?

革靴に履きシワがついてしまった、履き口が広りすぎてしまった、靴先が反り上がってしまった…。頻繁に履いていると型崩れしてしまうこともあると思います。
残念ながら、型崩れを劇的に直す方法はありません。シューキーパーを入れて、型崩れの進行を遅らせるくらいしかできないのです。手遅れになる前に、シューキーパーを入れて収納することを心がけましょう。革は生き物ではありません。型崩れしてしまったら、戻すのは難しいということを心の隅に留めておき、日頃からお手入れしてあげることが重要なのです。
反ってしまった靴はプロなら改善できる可能性があるので、靴修理に持ち込んでみるといいですよ。

時間がない!?
靴磨きを習慣化するコツ

革靴を長くキレイに履くためには、コンスタントにお手入れをし続けることが必要不可欠。そのために、1回のお手入れにかかる負担をできる限り軽くしてあげることをおすすめします。
私がおすすめしているのは、お手入れの時間を決めることです。毎日1分、月に1回だけ1足15分ずつなど、事前に決めておけば、気軽に取り掛かることができると思います。
数足を履き回している方は、お持ちの革靴を工程ごとに同時でお手入れできるため、休日のまとまった時間を利用してまとめてお手入れするのも良いでしょう。

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