知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします
革靴に愛を込めてあなたの“相棒”をきれいに長持ちさせるコツ(1時間目)
February 21. 2023(Tue.)
おしゃれは足元からと言うが、きれいでピカピカな革靴は大人のたしなみでもある。一方で、「お手入れが難しそう」「面倒でなかなかできない」と思っている人も多いのでは?
今回は、靴磨き・靴修理の職人で「名古屋観光ホテル」に店舗を構える小川大地さんに、靴磨きの基本から時短のコツ、さらに上級者のお手入れまで指南してもらった。
- Chou Choute- 代表
- 小川 大地
- 靴修理と靴磨きの職人。大手リペアサービス会社で靴修理の修行を詰んだ後、2018年「名古屋観光ホテル」1階に「Chou Choute-(シュシュット)」を開業。ワックスメーカー「サフィール」が実技と知識を認めたスペシャリスト「サフィールシューケアトレーナー」の名古屋市内唯一の資格保持者。通常の靴磨きはもちろん、鏡面磨き、キズ補修・シミ抜き・クリーニングや染め替え、さらに革製品全般のケアをしている。少人数制の靴磨き教室も開催。
- https://chouchoute-nagoyakanko.net/
毎日1分でできる!デイリーメンテナンス
みなさんは帰宅後、服はシワにならないようにホコリを落としてハンガーにかけると思います。しかし、脱いだ靴はそのまま放置していませんか?
靴も同様に、ブラシを使ってホコリを落としてあげましょう。日々行うことはこれだけで十分です。1日履いた靴にはホコリがたまっています。靴に積もったホコリは靴のツヤをぼかしてしまいます。また、ホコリが革の油分と水分を吸うことで、乾燥にもつながります。靴は床に置いたままにせず、手に取って角度を変えながらブラシを動かします。手首にスナップを効かせてサッサッとはたいていきましょう。時間をかけなくても、10秒から20秒くらいで大丈夫ですよ。
また、型崩れを防ぐためにシューキーパーを入れて収納しましょう。シューキーパーは湿気を吸う木製で靴の形に合わせたものがあればベストです。
毎日のちょっとしたケアが、靴の寿命を伸ばしてくれるのです。
月に1回、クリームを塗って革靴に“栄養補給”を
革は自分で栄養を作り出せないので、長く履き続けるためには外からの栄養補給が必須です。その役割を担うのがクリームです。月1回で大丈夫ですので、色が落ちてきたり、傷がついたりしたら、クリームでお手入れしてみてください。
まずは、革の汚れを落として“すっぴん”の状態にすることから。革にクレンザーを塗布して、綿の布で拭き上げていきます。
そして、“すっぴん”になった状態に栄養たっぷりのクリームを塗り込みます。色付きのクリームには補色効果も。クリームは磨く靴の色より明るい色味ものでしたら、色は全く同じでなくても構いません。豚毛のブラシにクリームをコーヒー豆2、3粒程度取り、靴に塗っていきます。塗りすぎると、空気中のホコリを吸着してしまうため注意が必要。塗ったときに革の表面が少し曇る程度が適量です。
ポイントは、塗った後に豚毛ブラシでガシガシとこすること。摩擦熱がクリームをやわらかくして、革の奥まで栄養成分が浸透するのを促してくれるのです。
最後に、ネル生地の布で乾拭きして完成です。
1足あたり10~15分が目安になります。
上級者はワックスを使った「鏡面磨き」でピッカピカに!
「もっと本格的にお手入れしてみたい」という方は、「鏡面磨き」にチャレンジしてみてください。「鏡面磨き」に用いるワックスは基本的にクリームと同じ成分なのですが、艶の成分であるロウが主となっていて表面を光らせるのに効果的なのです。
全体に塗ってしまうと屈曲する部分がひび割れてしまうため、つま先やかかとなど光らせたい部分にのみ塗りましょう。
鏡面磨きは靴をきれいにするだけでなく、革靴を傷から守る役割も担っていますよ。
今回使用した道具はこちら。ブラシは3つを使い分けます
最後に、今回使った道具を紹介します。
①汚れ落とし用のクレンザー
②靴磨き用クリーム
③ホコリを落とすための馬毛ブラシ
④しっかり塗り込んで磨くための豚毛ブラシ
⑤クリームやワックスを塗るための豚毛のアプライブラシ
ブラシは硬さや大きさが異なるため、用途に合わせて使い分けていきます。豚毛は「硬いけど大丈夫?」と感じるかもしれませんが、革の表面に傷がつく心配はありません。安心してガシガシ磨いてください。
⑥クレンザーを拭き取る綿布またはネル生地の布
⑦拭き上げるためのグローブクロス
綿やネルの生地は、不要になった服の切れ端を使っても良いです。
これらはハンズやロフトなどの生活雑貨店で購入することができます。同じものでなくても構いませんので、一式揃えてみてください。
せっかく出会ったお気に入りの革靴。プロでなくても正しい方法で定期的にケアをすれば、いつまでもあなたの“相棒”でいてくれるはずです。