中部地域のさまざまなまちを文筆家・甲斐みのりさんが訪ねます
練習 馴染みのまちを
再編集する!
松阪市街エリア(三重県松阪市)
August 20. 2024(Tue.)
お伊勢参りの宿場町や、商人の町として発展した三重県松阪市。『古事記伝』の筆者で国文学者・本居宣長公の生誕地、三井財閥の発祥地、映画監督・小津安二郎氏が青春期を過ごしたことでも知られる土地です。
そこで地元の魅力を掘り起こしているのが、地域特化型の5人組クリエイティブチーム「vacant(バカント)」。代表の中瀬皓太(なかせこうた)さんに話を伺いました。
昔から町にあるものを
新たな角度で再編集
グラフィックデザイナー、ウェブディレクター、料理人兼イラストレーター、税理士。異なる職種の5人が集まり、三重県松阪市に特化したクリエイティブチーム「vacant」が立ち上がったのは2021年のこと。代表の中瀬皓太さんいわく、市内外のいろいろな人が交流できる、民間の観光案内所をイメージして結成したそうです。
中瀬さんは現在41歳で、生まれてからずっと松阪で暮らしているそう。大学卒業後にサラリーマンを経験し、その後、地元のデザイン会社に転職。9年ほど前に独立し、地域に密接したデザインの仕事に携わってきました。そんな中、さまざまな分野で活躍するクリエイターや、各地で活躍するメディア関係者との出会いに恵まれるように。
自分たちにとっては当たり前のまちの文化や風景が、外からやってくるみんながおもしろいと言ってくれることに、最初は少なからず驚いたと言います。また、本居宣長をはじめ松阪の歴史についても、地元っ子である自分たちよりも、新たに知り合う外の人たちの方が詳しいことがあり、これではいけないと感じて、改めて松阪のことを深く知りたいと奮起します。
vacantの活動では、革新的に新しいものを生み出すというよりも、昔から松阪にある馴染みのものを掘り下げて、新しい角度でまちの魅力を再編集していこうと思い至ります。